中国テック企業が米国で上場できなくなる日

中国企業が米国で上場する一般的なVIE企業構造が利用できなくなる。中国企業の米国上場が不可能になる時代が到来?

中国テック企業が米国で上場できなくなる日

12月1日の午後、コーヒーを飲んでいる際に、このニュースを読みました。

China to Close Loophole Used by Tech Firms for Foreign IPOs
China is planning to ban companies from going public on foreign stock markets through variable interest entities, according to people familiar with the matter, closing a loophole long used by the country’s technology industry to raise capital from overseas investors.

記事タイトルを翻訳すると

中国当局は中国企業が海外IPOに利用するVIEスキームに関する政策の抜け穴を封じる

実は、すでに長い間、この噂は飛びかっていましたが、Bloombergで報じられたのは、これが初めてだと思います。これを見て、日本のみなさんはピンと来ないとおもいます。「海外でIPOするには抜け穴を利用している?」「VIEスキームとは?」は素朴の疑問だと思います。

僕から見ると、これもまた時代の節目だと思います。「また」というのは先日の記事タイトルは「時代の分岐点の目撃者」でした。私は、この記事タイトルを見てすぐに「時代の節目」を感じ、そして、中国特有の事情を日本の皆さんにわかりやすく解説する責任を感じました。

中国企業の海外IPOの歴史

海外IPOの歴史を理解するには、中国現代史のおさらいが必要です。

~1999年 混沌とした中国資本市場

ご存知の通り、中国の資本市場は鄧小平の指導体制の下で行われた「改革開放」により成長してきました。40年前は「資本市場」のコンセプトすらなく、初めてできた深圳証券取引所は30年前の1990年です。

また、中国初のベンチャーキャピタル IDGキャピタル は1993年にできました。設立時のCEO 熊暁鸽は、米国IDGのアジア統括CEO在籍中に、単独LP(Limited Partner/有限責任組合委員)として、2000万ドル規模のファンドを作りました。これがIDGキャピタルの始まりです。

外資系、海外通貨(米ドル)、投資ファンドという特徴をもつ企業と、1993年の中国政府が衝突し、最初に出てきた問題は資本、税務、会計の問題です。

1993年の中国資本市場はまだまだ赤ん坊のような存在です。政府は「海外からの投資」を積極的に集めようとしているものの、さまざまな制約がありました。


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