PdMの役割
PdMというポジションに役割に愛情が求められている
こんにちは、Tonnyです。C ChannelでCTOをしています。
今回は、PdM(プロダクトマネージャー)の本質的な役割について書きます。
もちろんPdMの役割は会社毎に異なりますが、いつも一緒に働いているPdMのメンバーと話し、その役割について考えました。
僕たちの結論の前に、PdM界のドン及川さんとLinkedInのPM曽根原さんとLuupの小城さんが共著されたこの本👇をオススメします。ぜひ読んでみてください。
まず、この本に書いてあるPdMの役割について見てみましょう。
図表2−1に「プロダクトマネージャーの2種類の仕事」が書かれていますね。
プロダクトを育てる
ステークホルダーをまとめ、プロダクトチームを率いる
まさに、その通りです。経験があるPdMがこれを見ると、すごく共感でき、頷けると思います。しかし、ジュニアなPdMが見ると、この高度に抽象化された役割だけでは、実際の仕事にどう反映していくのか、わかりません。
この二つの役割をさらに抽象化すると
- プロダクトに関する役割
- 人に関する役割
と定義できます。
人を、どうやって「率いる」か
【率いる】
大勢の人を引き連れる。指揮をとる。統率する。
–– 大辞林
現実的に「指揮を取れる」のは経験が豊富なPdMしかできないです。
僕がいつもメンバーに伝えているのは、「真ん中のポジション」になることです。
ステークホルダーとプロダクトチームが直接会話をする機会が少ない場合があります。PdMは、ステークホルダーの戦略や意図を解釈し、プロダクトチームに伝えることが必要になります。そのため、PdMの基本的な役割は、コミュニケーターになることだと思います。
このコミュニケーターの役割は双方の橋渡し役になることですが、双方とコミュニケーションを取ればいいだけと認識してしまうと、それはただの「伝書鳩」になってしまいます。
ジュニアなPdMは、専門知識とスキルが足りないため、「エンジニアに確認します」、「POに確認します」という回答が多くなります。その場合は「伝書鳩」になってしまっている可能性が高いです。
コミュニケーターのストーリー
Aさん:社長、なんで同期のBは僕より給料を多くもらっているの?
社長:答える前に、一つお願い、今日のトマトの価格を調べてくれる?
席に戻って、頑張って調べたあと、
Aさん:社長!今日は1kg 1000円です!
社長:お!ジャガ芋はどう?
また席に戻って、調べたら
Aさん:社長!ジャガ芋は1kg 800円です!
社長:なるほど!キュウリは?
また席に戻って、調べる
Aさん:社長!キュウリは1kg 800円です!
社長:お!了解。Bさんを呼んできて。
Bさん:社長、御用は?
社長:今日のトマトの価格を調べてくれる?
後ほどBさんが戻ってきた
Bさん:社長、トマトは今日1kg 1000円です。
社長:ジャガ芋は?
Bさん:ついでに調べたのが、今日は1kg 800円です。
社長:じゃ、キュウリは?
Bさん:キュウリは1kg 800円です。
社長:了解!ありがとう!
社長はAさんに向いて、「理由はわかった?」と尋ねたら、Aさんは恥ずかしいながら頷いた。
このストーリーのように、コミュニケーター役割は、ただ聞かれたことだけに答えればいいのではありません。この役割を果たすには、ステークホルダーやプロダクトチームメンバーが質問をする背景を理解し、事実を伝える必要があります。この役割を十分に果たすには、豊富な専門知識やスキルは身につけることはもちろんですが、コミュニケーションに注意を払わないといけません。そして、そう簡単に果たせるものではないです。
役割を果たすために、当たり前ですが、とても重要なことを書いておきます。
- それぞれのメンバーと話す時、わからない時は率直に伝える
- わからないことをメモして、自分で調べる
- 常にMECEの意識を持って、考える
この3つが習慣として身につき、専門知識やスキルが身についたら、次の役割である「翻訳者」が見えてきます。
コミュニケーターの進化した役割は「翻訳者とファシリテーター」
ステークホルダー(POや役員)も人間です。常にはっきりと、正しく意図を伝えられるわけではありません。時に、PdMが、ステークホルダー対して、簡単なレクチャーをしないとなりません。
現実世界では、曖昧な要望、ぶれる目標、無茶な要求がPdMに飛んでくることも多いです。そのような状況の中で、情報を整理し、本質的なことをブレずにステークホルダーやプロダクトメンバーと忍耐強く話し、目標に向かって、最適な解決策に落とし込んでいくのが上級PdMの仕事です。
最適な解決策を出すために、
- ステークホルダーとチームメンバーの翻訳者になって、それぞれが理解できる言葉を使って話す
- それぞれの人の個性を把握した上で、最適なファシリテーションをする
その最適な案を出したら、次にプロダクトに対する役割が現れます。
「プロダクトを育てる」とは「愛情を注いで苦労する」こと
「プロダクトを育てる」役割はクールに抽象化した表現です。全く同意見ですが、あえて言い換えているのは、PdM自身はクールになりすぎないようになってほしいです。
「〇〇プロダクトの生みの親」という表現をしばしば見かけます。プロダクトを生んで、育てることは、まさに子供を生んで育てるようなものです。実際の子育てを経験しているパパやママは、その大変さがわかると思います。大変な苦労がある中、愛情を注いで子供を育てる。それとプロダクトを育てるというのは、とても似ています。子育て経験のないジュニアなPdM、若手PdMには、あえて、難しいことは考えずに「プロダクトにしっかり愛情を注いで、たくさん苦労しよう!」と強調したいです。
結局、プロダクトに愛がなければ、良いものを作れません。クールになりすぎたPdMになってしまいます。あまりよろしくないと思います。この「愛」という表現は本当に曖昧ですが、抽象化したPdMの役割の定義としては、良いでしょうね。
Tonnyが定義したPdMの役割
最後、この記事を読んで、ほんのちょっとだけしか覚えられない場合、
PdMの役割は
- 対人、コミュニケーター、翻訳者、ファシリテーター
- 対プロダクト、愛情を注いて苦労する
を覚えていただければ幸いです。